松田裕の表情が変わる。


真剣な眼差しになり、あたしと寛太を見つめている。


「町の人たちは、ミズキさんを愛していたあなたには秘密にしてたんだ。ミズキさんもきっと、あなたにだけは知られまいと、なんでもないフリをしていたんです」


あたしはゆっくりと、町の男性から聞いた話をしはじめた。


地下室にあった血痕も、その原因も。


話をしている間も呼吸が苦しくなるくらい辛かった。


けれど、これは隠しておいていいことじゃない。


ミズキさんには申し訳ないけれど、ちゃんと話をさせてもらわないといけないことだった。


「嘘だ、そんなの……」


松田裕は目を見開き、肩で呼吸をしながらそう言った。