ミズキさんの身に起きたことを考えると、掃除を繰り返しても一向に綺麗にならないお地蔵のことが理解できた気がした。


それは、ミズキさん自身が今も苦しんでいるからだ。


ちゃんと成仏もできなくて、傷つけられた町に止まり続けるしかできない。


そんな悲しみが現れているんだ。


「そんなの、ただの君の妄想に過ぎないだろ」


フンッと、鼻で笑う松田裕。


「あんたは、ミズキさんみたいに死んでいった町にいたいと思うか?」


寛太が松田裕を睨み付けてそう言った。


「そりゃあミズキの死は可愛そうだったよ。両親を1度に失った喪失感は計りしれない。だからこそ! またこの町からやり直せばいいんだろ!?」


松田裕の言葉にあたしと寛太は目を見交わせた。


ミズキさんの事を愛しているなら、両親が亡くなった後の出来事を重視するんじゃないだろうか。


そう思うけれど、松田裕はさっきから地下室での出来事については何も語っていない。