寛太が沙良の体にしがみついた。


けれど、首に巻きついた手はギリギリと食い込んでいる。


「やめてくれ! ミズキさんあんたは操られてるんだ!」


懸命に叫ぶ寛太。


「あんたこのことが好きだった男がいるんだろ!? そいつがあんたの魂を操ってる!! このままじゃあんただって苦しいだろ!?」


沙良の顔は赤から青に変わっていく。


手の力は弱まらない。


「……ミズキさん。もしかして、ミズキさんもその人を愛してた?」


あたしは小さな声でそう聞いた。


途端に首に巻き付いていた手が離れ、沙良の体が落下した。


「愛し合ってたんだね……」


それなのに、ミズキさんはひどい仕打ちを受けていた。


好きな人には到底言えないような仕打ちだ。


すべてを怪我されてしまったミズキさんは、自殺することを選んだ。


その気持ちは痛いほど理解できた。