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男性が完全にどこかへ行ってしまった後、地下室はとても静かだった。


ミズキさんの身に起きた不幸な現実を思うと、言葉にもならなかった。


「……とにかく、ここから出る方法を考えないとな」


寛太がそう呟く。


腹部の痛みは随分よくなったのか、顔色は良くなってきている。


「柏谷さん、来てくれないかな」


それだけが最後の望みだった。


けれど、さっきの男にあたしたちはすべてを話してしまった。


あの男が柏谷さんに適当な事を吹き込み、この家に近づかないようにするかもしれない。


そうなれば、あたしたちはもう終わりだった。


呪いでなくても、餓死するのを待つしかないのだ。


ぼうっと座っているだけだった沙良がスマホを取り出して、時間を確認した。


「もう朝の8時を過ぎてる」


カラカラに乾いた声で沙良が言った。