「待って！　助けて！！」


追いかけようにも、寛太を１人にはできない。


相当強く殴られたようで寛太の意識は朦朧としている。


やがて、無情にもドアは閉められた。


ドアの上に何か物を移動している音まで聞こえてくる。


完全にあたしたちと閉じ込めるつもりなのだ。


「やめて！！」


気力を振り絞り、沙良が叫んだ。


這うようにして階段を上がって行くが、すでにドアは固く閉ざされてしまった後だった。


「最後に、お前らに良い事を教えてやる」


男性の声が聞こえてきて、あたしは耳を澄ませた。


「ミズキの両親が亡くなった後。町の人たちはミズキの事を心配してこの家に来ていた……なんてのはなぁ、柏谷さん１人だけだったんだよ。


他の奴らはミズキをこの地下室に閉じ込めて、殴る蹴るの暴行を加えた。もちろん、それだけじゃない。ミズキは綺麗な女だったから、色々と楽しませてもらったよ」


そう言い、高らかな笑い声を上げる男性。