それからどれくらい時間が経過しただろうか。


スマホの電波は届かず、あたしたちは地下室の床に座り込んでいた。


博樹の遺体には寛太が自分のTシャツをぬいでかけていた。


時間だけが空しく過ぎて行く。


この狭い空間にいると、呼吸すらままならなくなっていく。


酸素がどんどん薄くなっていくように感じられて、冷や汗が出た。


沙良はさっきから床に横になっていて、ほとんど動かない。


もう、起きている気力もないのかもしれない。


「大丈夫、心配することはない。俺たちがここにいることは、柏谷さんが知ってるんだ。ずっと出てこなかったら心配して来てくれる」


寛太が呟くようにそう言った。


そうであってほしいという願いがこもっている。


あたしは何も返事をしなかった。


心が重たくて、とても会話をする気になれない。