「沙良、大丈夫?」


埃っぽい床の上に座り込んだままの沙良にそう声をかけた。


こちらへ振り向くものの、返事はない。


目からは絶えず涙があふれ出していて、横にはスマホが投げ出されていた。


動画の拡散を何度か試みたのかもしれない。


それでもダメだったんだろう。


「沙良、まだ時間はあるから。きっと大丈夫だから」


そう言って沙良の体を抱きしめる。


が、次の瞬間あたしは沙良の手によって突き飛ばされていた。


突然の事で反応できず、まともに床に肩を打ち付けてしまった。


「沙良! なにしてんだ!」


寛太が声を荒げるのを、あたしは静止した。