「話を聞く限りでは、ミズキさんが誰かを怨んでいる様子はなかったんですね?」


寛太がそう聞くと、男性は頷いた。


「あぁ。もちろんだ。みんなミズキの事を心配してたんだからなぁ」


「そうだったんですか……」


それじゃあ、なぜ呪いの動画が配信され、そこにミズキさんの歌声が入っていたのか。


1つ謎が解けたかと思ったのに、またわからないことが出てきてしまった。


「1つ、お願いがあります」


沙良がそう言った。


「なんだい?」


「この家の中を探させてください。なにかヒントになる事を見つけたいんです」


沙良はそう言い、頭を下げた。


男性は困ったように頭をかく。


「ここは俺の家じゃないし、お前らも大変そうだしなぁ。でも許可を出すこともできない。しょうがないから、俺は何も見てない事にしてやるよ。なにかあったら、すぐに電話してこいよ」


男性はそう言い、あたしたちに電話番号を書いたメモをくれると去って行ったのだった。