「どうしたの?」


後ろからそう声をかけ、寛太の横から部屋の中を確認したあたしは絶句していた。


4畳の狭い和室の奥には、大きな仏壇が1つあったのだ。


ここが廃墟だとすれば、仏壇は別の物を購入し、古い物をここに残して行った可能性がある。


けれど、問題はそうじゃなかった。


仏壇に飾られている女性の写真。


その写真の横に書かれている名前に釘付けになっていた。


「ここは冨福ミズキが暮らしていた家だったんだ」


寛太がそう言い、あたしの手を握りしめて和室から引き返した。


「なに? どういうこと?」


沙良と博樹が混乱した表情を浮かべている。


「この奥に仏壇があった。冨福ミズキの仏壇だった」


寛太が早口に説明して、玄関へと向かう。