駅の逆側へ向かうと、博樹の言っていた通りの廃墟が姿を現した。


2階建ての大きな家だけれど、庭の草は生え放題、壁にはツタが沢山絡まっている。


辺りが薄暗くなっているため、その外観だけで十分に恐ろしかった。


「本当にここに泊まるの?」


あたしは寛太へ向けてそう聞いた。


「見た目は悪いけど、仕方ないだろ」


そう言いながら、寛太は庭へと足を踏み入れた。


「だけどとりあえず、この玄関が開くかどうかだよなぁ」


玄関のドア付近までツタが伸びてきている。


赤茶色に塗られたドアは所々錆びていて、まるでどす黒い血の色のように見えてゾッとした。


「開けてみよう」


博樹がそう言い、寛太がドアノブへと手を伸ばした。


やはり少し抵抗があるのか、その動作は恐る恐ると言った様子だった。