「それを調べたくても、あたしたちは今日泊まる場所がないよ」


あたしはそう言った。


さすがに、このまま野宿というわけにはいかない。


施設も今日は開けてもらえそうにない。


「そう言えば、駅の逆側に空家があったみたいだけどな」


ふと思い出したように博樹が言った。


「空家?」


沙良が聞き返す。


「あぁ。電車の窓から見えたんだ。結構大きな家だけど、ツタが絡まって手入れされてない感じだった」


誰の許可もなく空家へ入る事は犯罪だ。


けれど、今そんな事を言っている場合ではなかった。


背に腹は代えられない。


明日沙良は死ぬかもしれないのだから、ノコノコ帰ることもできない。