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寛太の後を追いかけて図書館を出ると、辺りは暗くなり始めていた。


こんなに時間をかけても、結局何も見つけることができなかった。


その悔しさに下唇を噛みしめる。


「宿泊施設に行ってみよう」


不意に、寛太がそう言い出した。


「え? でも、今日は先約があるって……」


沙良が戸惑った声を出す。


「あんなのデマに決まってるだろ。でも、一応確認しておこう」


あたしたちが昨日泊まった施設は町の中央付近にあった。


小さなお店などが多く立ち並んでいるが、この時間はほとんどの店が閉店している。


そして施設まで来たとき、あたりは真っ暗だった。


窓からの明かりも漏れていない。


誰もいないことは一目瞭然だった。


「あの地蔵の話しを持ち出した途端、町から出ていけって態度になったよな。あの地蔵は絶対になにかある」


寛太が施設を確認してそう言った。