寛太のこだわったご飯の効果が出たのかどうかわからないが、地蔵に掘られた名前とイケニエの名前を確認していく作業はスムーズに進んでいた。


あたしと沙良で河の南側。


寛太と博樹で河の北側を調べている。


「綺麗にされてるよね」


自分たちの街に立てられているお地蔵と比べてみても、ここのお地蔵はとても手入れがされている。


草も生えていないし、コケがついているようなお地蔵も1つもない。


普段から町の人たちが手入れしているのがよくわかる。


「そうだね。でもこれだけ綺麗にされてても、イケニエにされた人が報われるワケじゃないよね」


沙良が沈んだ声でそう言った。


「そうだね……」


あたしはなんと返事をすればいいのかわからなくて、中途半端に頷くしかできなかった。


自分から望んでイケニエになった人なんて、きっといないだろう。