とても静かな図書館の中。


3人の呼吸音ですらうるさく感じられてくる。


「この本にはイケニエになった100人分の名前が書かれてる」


寛太がそう言って分厚い本を広げて見せた。


「そうなんだ……」


これを読んでいけばお祭りに参加しなかった人物を特定できるかもしれない。


けれど、それは気の遠くなるような作業だった。


100人分の名前とその関係者を調べるなんて、あたしたち3人でできる作業じゃない。


「この本、貸してもらおうか」


そう言い出したのは沙良だった。


沙良はテーブルに本を広げながらも、集中して中身を読むことができていない様子だった。


「借りてどうするの?」


「そこに書かれている名前と、地蔵に掘られている名前を確認していくの。ちゃんと100人分あるのかどうか」


その言葉にあたしは一瞬息を飲んだ。