翌日。


あたしたちは宿舎の一室で目を覚ました。


祭りが終る頃にはすっかり電車もなくなっていたため、急きょ寝る場所だけ準備してもらったのだ。


宿舎と言っても、この町に泊まる客人は滅多にいないため、その外観は廃墟同然だった。


けれど、あたしたちが泊まるということで、町の人たちはすぐに鍵を開けてくれた。


6畳にあたしと沙良、隣の4畳の部屋に寛太が泊まった。


「この町の人たちはみんな優しいね」


部屋の窓から町の様子を見つめて、沙良が言った。


「そうだね。みんなすごく親切だよね」


あたしはそう返事をした。


「正直さ、イケニエがあった町はもっと閉鎖的なのかと思ってた」


「そうだね。あたしたちにはあまりに無縁な話だもんね」


あたしは沙良の言葉に頷いてそう言った。