どこにいても花火が見えるように……。


それは、イケニエとして流されてしまった女性たちにも見えるように。


という意味なのかもしれない。


花火の後は灯篭流しの時間だった。


各自それぞれ持ち寄った、色とりどりの灯篭が河へと流されて行く。


その時は周囲はとても静かになり、あの歌だけが聞こえてくるような状況だった。


河を流れて行く灯篭はとても綺麗なハズなのに、どうしてだか胸が締め付けられた。


この灯篭の数だけ、イケニエの悲鳴があったんだ。


この灯篭の数だけ、イケニエの苦しみがあったんだ。


そう思うと、素直に綺麗だと喜ぶことができなかった。


気が付けばあたしは河へ向けて手を合わせていた。


沢山の人がここで死んだ。


その魂が少しでも救われますようにと……。