「お待たせしました。大丈夫そうですよ。この町の歴史書の棚へ案内します」


一体誰に聞いてOKが出たのかわからないが、女性はどこか上機嫌だ。


「今夜はお祭りもあるんです。時間が大丈夫そうなら参加してみてくださいね」


お祭りという単語に沙良が目を見開いた。


ネットで調べたあのお祭りのことかどうかはわからないが、可能性はある。


「ありがとうございます」


寛太が女性にお礼を言って、歴史書の棚へと向き合った。


「今日ってお祭りなんだね」


沙良が小さな声でそう言った。


「だけどスーパーの掲示板には張り紙はなかったよね」


あたしは思い出しながらそう言った。


この図書館のことは書かれていたけれど、お祭りに関してはなにも書かれていなかった。


それに、今日は平日だ。


平日に大きなお祭りとやるとは思えない。