校外実習を言う言葉を聞いて、女性の表情が少し緩んだ。


「そうだったんですね。この町の事を調べて発表するんですか?」


「そうなんです。あ、でもダメそうなら諦めて帰りますけど……」


寛太の言葉にギョッとして目を見開いてしまった。


ここまで来て諦めて帰るなんて、そんなことは信じられなかった。


「ちょっと待ってね」


女性はあたしたちへ向けてそう言うと、一旦スタッフルームへと戻って行ってしまった。


「ちょっと寛太! なんであんなこと言うのよ」


あたしはすぐに寛太へ詰め寄った。


「大丈夫だって。町のことを調べるって言っても嫌な顔はしなかったんだから」


「そうかもしれないけど、万が一ダメって言われたらどうするの」


「そのときはこっそり調べるだけだろ」


寛太がそう言った時だった、スタッフルームのドアが開き、さっきの女性が笑顔で戻って来た。