カウンターにいた図書館司書の人が、けげんそうな顔をあたしたちへ向けた。


どう頑張ってもよそ者ということがすぐにバレてしまうようだ。


あたしたちはできるだけ堂々とした態度で館内を歩いた。


通報されてしまえばそこで終わりだ。


そうなってしまう前に、少しでも情報を集めなければならない。


小さな館内を歩き回っていると、図書館の従業員の女性に声をかけられた。


「なにかお探しですか?」


まだ20代くらいの若い女性は、あたしたちをジロジロと見ながらそう聞いて来た。


「この町について調べたいんです」


そう答えたのは寛太だった。


寛太はいつもと変わらない口調だ。


「この町についてですか?」


「そうです。俺たちまだ高校生なんですけど、今日は学校の校外実習で来ているんです」


スラスラと、よどみなく嘘をつく寛太。