サンドイッチを食べたばかりなのに、お腹がすいてきてしまう香りだ。


すると、沙良は小さく笑い始めた。


口もとを押さえてあたしと寛太のやりとりを見て笑っている。


それは日ごろから見慣れている沙良の笑顔だった。


それなのに、あたしの胸がジンッと熱くなるのを感じた。


沙良が笑顔になっている。


まだ、笑う事ができている。


こうして、あたしたちと一緒に生きている。


その事実が襲ってきて、涙が出そうになった。


あたしは涙を押し込めて、沙良と同じように笑った。


「寛太ってばひどいでしょ?」


そう言いながら笑う。


こうしていつまでも笑い合っていたいと思いながら……。