沙良はそう言って、苦笑いを浮かべた。


自分があと数日で死ぬかもしれないと言う時に、ご飯なんて食べていられないのだろう。


「そんなことじゃ、探し物も探せないぞ」


口いっぱいにから揚げを頬張った寛太がそう言った。


「探し物って言っても、あの歌と動画を関連付けるものでしょ? そんな曖昧なものがこの町で見つかるかどうかなんてわかんないし――」


「ほら、腹が減るとネガティブになるんだぞ」


沙良の言葉を途中で遮って寛太は言った。


その手には個包装されたコロッケが握られている。


「この町の名産品らしい。川魚が使われたコロッケだってさ」


沙良は躊躇しながらもそのコロッケを受け取った。


とてもいい香りがしている。


沙良も食欲をそそられたのか、ゴクリと唾を飲みこむ音が聞こえて来た。