ぶらほわバタフライ




検査の結果、雅の病気は移植じゃないと助からないことを知った





「その手術はすぐ出来るんですか……っ!?」





さっきまでケーキ持って笑ってたのに……





「提供者が見つかれば出来ますが……見つからない場合、もって5年です。」





5年……?



たった5年が、雅の残りの人生……?





「俺のじゃダメなんですかっ!?」



「お兄さんの臓器はもう成人へと成長し始めていて、雅さんの小さな身体には……。」





俺には……雅を助けることが出来ない



雅の病室の前で立ち尽くした



雅の誕生日なのに……入院して、余命宣告?



そんなの、雅に言えるわけねぇじゃねぇか……



どうする



親父は死んで、母さんはいなくなって、雅は病気になった



生活費や手術費なんて俺にどうにか出来んのか……?



考えろ



俺1人でも雅を支えていける方法を



せめて雅だけでも守ってやりたい











「五十嵐 慧、だったか?」





声の方を向くと、老人と男が1人





「誰だてめぇ。」



「威勢がいいなぁ。
さすが親父を殺しただけのことはある。」





なんでこんなじじいが知ってやがる……





「そんな警戒するな。
ただスカウトしにきただけだ。」



「スカウト……?」





何言ってんだこのじじい



俺がこんな胡散くせぇやつについていくとでも思ってんのか





「断る。」



「金が必要なんじゃねぇのか?」





……こいつ、始めからそのつもりで



中学生の俺を働かせてくれるところなんてそう簡単に見つからねえ



なら……












「話だけは聞いてやる。」









あの時の俺はただ我武者羅だった



全部俺が引き起こしたことだった



だからこそ、俺はたった1人の家族のためなら何だって出来る



それが、俺が雅に出来る唯一の償いだったからだ



そのためなら例え仲間を裏切ってでも……



そう決意したはずだったのに



今、俺の目の前にはこいつらがいる



結局自分の中途半端さが、こいつらをこんなところまで追いかけてこさせた



また俺は……巻き込んだんだな



みんなの姿はあの日の親父と重なって見えた



俺は、もう二度と大切なものを失いたくない



それなのにフードを被ってるやつに言われて揺れた



こいつらの想いを聞かない振りをしてここまできた



いつの間にか、俺はREDMOONに染まっちまってた



自分から裏切ることなんて出来なくて



お前らとのあの時間が、本当に凄く楽しかった



関西弁で繕ってたとしても、それさえも笑ってくれたお前らに感謝してた



ここまで追いかけてくれたことも嬉しかった



出来ることなら、お前らとずっと一緒にいたかった……