ぶらほわバタフライ




俺は鎖も関係なく暴れる



どうしてこうなった?



なぁ、どうして……





「ははははっ!!
ヒーローぶるからこうなんだよ!!」



「親子揃いも揃ってバカみてえだな!!」





目の前で殴られる親父をただ見ていることしか出来ない



俺が……俺の身勝手なわがままが親父を巻き込んだ



その時、サイレンの音が聞こえた





「チッ、こいつ警察呼んでやがった!!」



「おい、いくぞ!!」





焦ったように逃げてったやつら



鎖に繋がった俺と倒れている親父だけが取り残された





「親父……?なぁ、親父っ!!」



「……慧、無事……か……?」



「なんで……なんで来たんだよ……っ」





くそ……こんな鎖さえ取れれば……っ





「はは……っ、こんなにやんちゃしたの高校以来だなぁ。」





喋るだけで苦しそうな親父を見ているだけで胸が痛んだ



ずっと感情がぐるぐる回って絡まる





「慧、父さんもなぁ、高校生の時はああいう子たちと一緒だったんだ。
今の慧と何も変わらない。」





こんな俺と、親父が……?





「自分でもどうしたらいいのか分からなくて周りの反応に怯えて、無理に強がってみせて、だから誰にも理解されない……。
それが苦しくて辛くて……だから喧嘩に走るんだよなぁ。」





そうだ……俺はただ理解されたかった



こうなりたくてなったんじゃない



俺も、普通の人になりたかった



家族と過ごすあの時間のように





「親父……。」



「母さんがお前を心配するのは、父さんと重ねているからなんだ。
いつも怪我して帰ってきた父さんを、家で待っていた母さんが怒るんだ。
"いい加減安心して待たせてよ!!"って。」





ふと家を飛び出した時を思い出す



あの時も母さんは心配そうな顔をして怒っていた



それを俺は……突き放した





「だからな?慧。
母さんを安心して寝かせてやらないか?
父親らしいことは何一つ出来なかったが、お前なら大丈夫だ。
父さんの自慢の息子だからな。
お前が……母さんと雅を守っていくんだぞ?」





そう言って親父は笑った



なんだよ……



なんで過去形なんだよ……



俺はまだ親父みたいに立派な人間じゃねえよ……





「なぁ親父……」





返事はない





「嘘だろ……なぁ、親父!!
返事しろよっ!!なぁ!!」





警察が入ってきて、俺の鎖が外されると、俺は警官の言葉を無視して、よろよろと親父に歩み寄った





「なぁ……目ぇ覚ませよ……。
父親らしいこと出来なかったって言うんなら、今からしろよ……っ!!
頼む、頼むから…………。」





それでも、親父が目を開けることはなかった



それが、俺と親父の最後の会話だった