(翔side)
なんだ……?
お嬢さんから出ているこの変な気配は
ドロドロとしたものが俺を足元から支配しようとしているようで
若頭の航さんがお嬢さんに近づいて目を瞑らせたと思ったら、航さんは懐から出した小型ナイフで……自分の手首を切った
「おい、何してる。」
航さんの手首からは血が垂れていて
「下がれ。」
その航さんの真剣な表情に何も言えなくなった
「クロ。目ぇ開けていいぞ。」
その声を聞いて、お嬢さんはおそるおそる瞼を開けた
そして……航さんの手首から垂れる血を見た
その瞬間、お嬢さんから感じる気配が変わった
「お前ら、覚悟しとけ。
"あいつ"から放たれる殺気は、普通のやつには耐えられねぇ。
あいつは……クロであってクロじゃねぇ。」
俺たちは慧を助けに来た
それなのに……これはなんだ?
今のお嬢さんは……一体誰だ?
そしてお嬢さんが再び瞼を開けた時、その瞳は……赤く血のように染まっていた
「クロ、ちゃ……ん……?」
『俺はクロじゃねぇよ。』
首に手をやり、辺りを見回し始めたお嬢さん……じゃない何か
『あーぁ、入れ替わるのに苦労した。
呼び出したのはお前か、航。』
「こないだぶりだな、殺。」
「……殺?」
殺って誰だ?
『お前らがクロが大事にしてるものか……。
覚えておけ。俺は殺、クロの半分だ。』


