「……堪忍な。」
本当にそれでいいの?
「お前らといれてホンマに楽しかったんや。」
なら、どうして
「あいつらには内緒やで?」
そんな場所を自分から手放そうとするのよ……
「連絡ついたか?」
「ダメ〜。
まったく、慧はどこで何してるのかな」
「お嬢さんは何か知ってる?」
「……ううん。」
慧は暴走したあの日から倉庫に来なくなった
もうすでに1週間が過ぎた
みんな心配になって連絡をとってみても、誰にも連絡はなくて
……私以外は誰も知らない
あの日の慧の言葉も、それを決めた時の苦しさも
麓絽と話し終わったあと、倉庫の端でみんなを眺める慧を見つけた
その横顔は懐かしそうに微笑んで、でも……悲しそうだった
「……慧?」
「あぁ、クロやん。どないしたん?」
私に気づくと苦笑いを浮かべた慧
「ちょっと休憩。」
「ほな、隣座りいや。」
私たちは何も話すことなく、ただただ遠くのどんちゃん騒ぎを眺めた
その時間は何秒かだったかもしれないし、何分かだったかもしれない
でも、私にとっては永遠のように感じられ、息苦しかった
「あいつら、ホンマにバカやなぁ……。
でも、ああやってバカやってるんがあいつららしい。」
「慧も充分バカでしょ?」
「はは、よう言うてくれるなぁ。」
だって、冗談でも言ってないと……
今にもどっか行っちゃいそうじゃない……
「なんやろな……。
お前らといれて楽しかったんや。」
……なんで、過去形なの?
「悪い……酒飲み過ぎとるみたいやわ。
さっきの、あいつらには内緒やで?
バカにされるのがオチや。」
そうやっていつもみたいに笑って……
全然笑えてないくせに
「……そうだね。凜が特に。」
私はこの時、慧を止めることが出来なかった


