「クロ。」
私の横に並んだ慧
「さっきはありがとな。
正直、嬉しかったわ。
だから、俺の走り見とって。
証明させたるから。」
いつものいたずらっ子のような笑顔
すごく久しぶりに見た気がする
「うん。頼りにしてるよ。」
「おう!!」
そう言って歩き出した慧の背中に手を伸ばした
あの背中にどれだけのものを背負ってるのかと思うと、悲しくなってしまう
でも……
伸ばしかけた手を戻す
もう少し
慧が話してくれるまで待っていたい
すると、慧は途中で振り向いて言った
「俺のことより大輝の心配しとってや。
きっと1番傷ついとるんはあいつやから。」
大輝が……?
遠くにいる大輝を見て視線を戻した時には、慧はもういなかった
「クロ、いくぞ。」
「あ……うん。」
慧を探すけどもう人混みに紛れてしまったみたいで
諦めて車に乗り込む
「大輝も車なの?」
「まだ出番じゃないからな。」
緩やかに走り出した車
しばらく静かな時間が過ぎる
車の周りを囲む下っ端くんたちは、笑顔で会話したりしている
楽しそう……
「させるべきじゃないのは分かっていた。」
ポツリと呟かれた声色に、悲しさが見えた気がした
「……慧のこと?」
「本当は危険を侵してでも俺が出るべきだ。
仲間を身代わりにするなんて、俺のプライドが許せねえ。
だが、俺にはあいつらの居場所を、先代が作り上げたREDMOONを守る義務がある。
そう思うと、どうしたらいいのか分からねえんだ。」
これが、長である大輝に取り巻くプレッシャーなのか
いつも大人びてみんなをまとめて指揮をとってるけど、大輝の心はいつもプレッシャーに押し潰されそうなんだ……
そんなの……悲しすぎる


