そんな時、ふと木の根元にあるものに目がいった
それは、大きな石に固定されるように置いてある手紙だった
なぜだかその手紙を読まなければいけない気がした
名前もない封筒から手紙を取り出した時、俺は無性に泣きたくなってしまった
【凜へ。
手紙を男に書くなんて女っぽいと思ったけど、きっとお前の顔を見たら本当の事を言えなくなると思ったから。
初めて会ったあの日、なぜだかお前を放っておけなくなった。
なんだろうな……助けたいって思っちまったんだよ。
そうして過ごした今日、お前が帰り際に落としたカードを見た時、心臓が止まっちまうくらい驚いた。
カードに書いてあるお前の顔写真と、施設の名前を見て……俺は最悪な考えが頭をよぎった。
その施設は人体実験をしていると噂がたっていたから、もしかしたら凜も……なんて思っちまった。
日に日に顔色が悪くなるお前を見て、それが確信に変わった
だから喧嘩した今日、今度こそ助けようって思った。
俺はお前のそばにいるだけでお前を助けた気になってて、本当バカだよな。
実際に実験を目の当たりにした時、俺はそんな自分を殺してやりてぇと思った。
もっと早く助けられなくてごめんな。
だから今度は俺の番だ。
凜は自分を責めるかもしれねぇけど、これは俺がしたくてしたことだ。
お前が気にすることじゃねぇ。
そんなこと気にする暇があんなら、俺の分まで幸せになれ。
俺たちが出会ったこの運命を無駄にしないためにも。
凜、お前に出会えて良かった。
それは俺だけじゃなく、きっとこれから先出会うヤツらも凜のことを大事に思ってくれるよ。
お前を必要としてるヤツが世界には必ずいる。
それを忘れんな。
大丈夫、俺たちは思い出で繋がってる。
お前が前に進めない時は俺が背中を押してやる。
だから、これからはNo.4じゃなく"凜"として人生を歩いていけ。
じゃあ、また会おうな!!】
手紙には、微かに涙の跡があった
あの日、あの後急いで書いたからなのか少し字も汚くて
新、俺は本当に幸せになれるんだろうか
お前を殺した俺に、そんな権利なんかあるのか?
今までの俺にとって、新は唯一の光だった
俺も、誰かの光になれるだろうか
俺の罪は、お前を死なせてしまったこと
その償いを俺はしなきゃならない
だから……俺は生きるよ
「ク……ッ、ゥワアァァァァァアーーーー!!!!」
空に向かって泣きわめいた
その日は、初めて新と出会った日だった
1年経ってもあの日と変わらず、満開の桜が咲いていた


