「その壁は……もう壊せねぇのか?」
「分からない……。」
「なら、俺が一緒に壊してやる。
1人が無理なら、2人で。
2人なら何だってできる。」
それがいつになるのかなんて想像もつかなかったけれど、新ならいつかやってくれると思った
「新……たくさん傷つけてごめん。
それと、助けに来てくれて……ありがとう。」
「当たり前だろうが。」
俺たちは笑いあった
今度こそ、本当の友達という存在になれたと思った
「じゃあ、そろそろ逃げるか。」
「そうだね。」
そう言って2人並んで扉を開けた
ここからまた進むために……
「……な……ッ、なん……で……」
その先には……銃を構えて俺たちを囲む研究員たちがいた
まるで俺たちが出てくるのを待っていたかのように
ここは俺と明彦さんしか知らないはずなのに……
どうして……
もしかして、明彦さんが……?
とにかく今はここを脱出する方法を……
「凜、今のお前には未来が見えるか?
……ちゃんと輝いてるか?」
俺の、未来……
高校生になって、新とバカやりながら帰ったり、もしかしたら一緒に部活もしたり……
「……とっても……輝いてるよ。」
今なら胸を張って言える
そうなれたのも、新がいたから
「そうか……。なら良かった。
その未来、もう二度と忘れも無くしもするなよ。」
「なに、言ってんだよ……急に……。」
新は俺を見て一度微笑むと、もう俺を見ることはなく……銃を持った研究員たちの方へ歩いていった
「新、危な…
「俺がお前らの方に行けば、凜は幸せになれるんだろうな?」……は……ッ……?」
「あぁ。約束しよう。」
新……何言って……
「凜。お前はもう充分苦しんだ。
これからは……お前が幸せになる番だ。」
そう言って振り向いた新は、笑っていた
さっき俺たちが笑いあったように
「何で……ッ?俺の……俺の未来にはッ!!
新がいなきゃ意味ないんだよッ!!
この未来を見せてくれたのはお前だッ!!
なら、最後まで責任持てよ……ッ!!」
それでも新の表情は変わらなかった
「本当はそうしてやりたい。
だけどコイツら、俺がこっちにこなきゃ凜は離さねぇって言うんだよ。
だから今度は……"普通"で生きてた俺が"異常"で生きてたお前を助ける番だろ?」
違う……、俺は……そんな意味で言ったんじゃ……ッ
俺はもう助けてもらったのに
「新がいなきゃ……俺は……ッ!!」
「大丈夫。凜は強いから。」
どこをどう見たらそうなるんだよ……ッ
新は研究員たちに囲まれて、俺から離れていく……
今すぐ新の腕を掴んで逃げ出したい
なのに……それなのに、足が地面に縫い付けられたように動けなかった
その間にも、新はどんどん離れていく
「凜!!」
ゆるゆると顔を上げると、研究員たちの隙間から新の背中が見えた
「幸せになれ!!俺の分まで!!」
見えないはずなのに、新の笑顔が頭で浮かんだ
「う……ぁ……ッ、新ぁぁぁあーーーーッ!!!!!」


