ぶらほわバタフライ



「凜、お前最近大丈夫か?
調子悪そうじゃねぇか。」





季節も変わり、出会った頃の桜の木も今じゃ雪に包まれてきたこの冬



俺たちもその時間の分、友達らしい関係にちゃんとなれただろうか





「風邪が長引いているだけだよ……。」





最近の実験は口外出来ないほど荒々しいものばかりで、俺の身体も悲鳴をあげていた





「だったら家で休んでからまたくればいいじゃねぇか。
俺はいつでもいるんだしよ。」





そうかもしれない



暖かい家のベッドの上で寝て、しっかり風邪を治す



でも俺には"家"がない



そうしたくても、そうすることは……もう出来ない





「そうだね。そうすれば良かったよ。」





少し腹が立って、皮肉めいた口調になってしまった



"普通"や"当たり前"を押し付ける新が気に食わなかった



何も知らない新からすれば、ただ俺のことを心配して言ってくれただけだったのに





「何で急にキレてんだよ。」



「別にキレてないし。」





それなのに……





「明らかにキレてんだろ!!」





それなのに俺は……





「新に何が分かるのさ。家?休む?
そんな当たり前を俺に押し付けるな!!
俺と新は違うんだよ!!
"お前"なんかに……ッ、俺の気持ちなんか一生分からないッ!!」





最低なことを言ったと、言ってから気づいた



だけど撤回することなんて……新の顔を見たら出来なくなった



何を言われるか聞くのが怖くて、俺はその場から逃げ出した



初めて出会ったあの日と同じように



結局俺は何も変わっていなかった……



研究所の前に着いた時、中に入るのに必要なカードを落としてきたことに気がついた



どうしようかと頭を悩ませたが、偶然通りかかった研究員に中に入れてもらった



だが……俺は浅はかだった



この先起こる悲劇を、他の誰でもない自分が招いてしまったというのに……