ぶらほわバタフライ



あの日は満開に咲き誇った桜を公園のベンチから眺めていた



ただ桜だけをいつまでも



そんな時だった



アイツと出会ったのは









「そんなに桜が好きなのか?」







振り向くと、そこにいたのは俺と年も変わらないようなヤツだった





「なぁ、花好きなのか?」



「……別に。」





この時の俺は人を信じることが既に出来なくなっていた



人は俺の弱い心に漬け込み、最後には裏切る



人とはそういうものだと認識していた





「でもお前、最近ここら辺にずっといるよな?
俺の部屋からここは見えっから。」





そう言って俺の座るベンチに近づいてくるアイツ





「……近づくな。……俺は人が嫌いだ。」



「お前も人じゃないか。」



「黙れっ!!
何も知らないくせに俺に近づくな!!」





俺はアイツから逃げるように研究所へ走り出した



それから次の日



また次の日も



アイツは俺の前に姿を現した



今思えば、ただ歩く道を変えれば良かったのにと思う



俺はきっと心のどこかで期待していたのかもしれない



この見知らぬ少年なら俺を助けてくれるかもしれないと





「お前、名前は?」



「……凜。」



「あら、性格に似合わず可愛らしい名前ですこと。」



「……しばいてやろうか。」



「ハハハッ、嘘だよ。
俺は新(アラタ)って言うんだ。」



「新……。」





これが俺が初めて名前で呼び合うことになった……かけがえのない友達だった



新と出会ってから俺の全てが変わった



外が余計に好きになり、毎日のように新に会いに行くようになった



だが……それと同時に実験の方も本格的になっていった



薬漬けにされていくのが自分でも分かる日々



でもどんなに身体が痛くても……どんなに具合が悪くても……俺は新に会うために外に出た



決して新に俺の本当の姿がバレないように……