(紫苑side)
クロをバイクに乗せ、送っていく
背中にクロの存在を認識しながら、さっき言われた言葉を思い出した
結局、保健室から出てきた男のことも、
下駄箱に入ってた手紙のことも、
なぜ泣いていたのかも、
全部聞けずじまいだった
この小さな身体に、クロはどれほどのものを背負ってるんだろう
1人になった時はああやって泣いているのだろうか
それなのに、俺たちの前じゃ微塵もそんな姿見せずに笑って
そうやって人に自分の心を隠して生きてきたのだろうか
そう考えると、俺とクロは……似たようなものなのかもしれないと思った
俺は、クロに何が出来る?
『紫苑は空っぽなんかじゃない。
こうして、私を抱きしめてくれて包み込んでくれる優しさがある。』
「……結局、俺が励まされた……。」
「なんか言ったー!?」
「……別に。」
バイクの風があっても聞こえるとは地獄耳
「送ってくれてありがとう。」
「……もう大丈夫か?」
もう……1人になっても泣かないか?
「……うん。大丈夫だよ。」
微笑んだクロの瞳は、言葉とは裏腹にすごく曇って見えた
「じゃあ、また明日ね。」
クロを見送りながら決心した
あれだけ大丈夫だと啖呵切ったんだ
どんな時も、何があっても、クロを支えられるようになりたい
だからこそこのままではいけないと
でもその一歩が少し遅かったのかもしれない
この後すぐ事件が起こることを……俺はもちろん他の奴らに誰が想像できただろうか


