瞼を持ち上げると、見慣れない天井があった
「……ここ……は……?」
「ったく呑気な顔してんなぁ。
お前倒れたんだぞ?」
顔を横に向けると、黒縁メガネをかけた麓絽(ロクロ)がいた
「……麓絽?」
私より4つ上の……兄の幼なじみ
病院で働いていて、私専属の先生
「何で麓絽がここに……?」
ココは学校の保健室
なのになぜ麓絽がいるのか
「お前、薬取りにこなかっただろ。
だからわざわざ学校まで届けにきてやったんだ。」
あ、麓絽の顔がちょっと怒ってる
「で、いざ来てみたら変な女共に絡まれてるし、逆に喧嘩売ってるし。
終いには目の前でぶっ倒れやがって。」
「それ、ただの盗み聞きじゃん。」
しかも殆ど始めからいたみたいだし
「お前を背負ってここまで運んだんだからチャラにしろ。
で……なぁクロ。
REDMOONってどういうことだ?」
「……。」
「なんでREDMOONと一緒にいるんだ?
関わることがどういうことか分かってるだろ?
……まさかお前……」
分かってる……ちゃんと分かってる
でも、このままじゃ拉致があかないんだよ
「私、シロ兄を探し出すって決めたの。
もう散々探した。
でも何も出なかった。
なら、もうこういう所に手を出すしかないでしょう?」
「そんな身体で何が出来る?
薬も取りにこないで、あぁやってすぐぶっ倒れるようなヤツに。」
「それでも私は諦めない。
例え私の命が尽きたとしてもシロ兄は探し出してみせる。」
麓絽の表情はどんどん歪んでいった
「なぁ、もう長くないかもしれないんだぞ!?
真白のことも少しは考えろ!!」
その言葉に、今度は私が顔を歪める番だった
「考えてるよ!!
麓絽に私の何が分かるの!?」
あの日、シロ兄と離れ離れになった時から一度だって考えない日はなかった
気づいたらシロ兄はいなくなってて
その時の絶望も苦しみも忘れたことはない
麓絽は舌打ちをすると、もう何も言わず出ていった
「ごめん、麓絽……。
もう二度と、あんな気持ちにはなりたくないの……。」
いや、違う
もしかしたらシロ兄は私が知らないところで傷ついていたのかもしれない
私の分まで抱え込んで、それでも私のために笑ってくれていたというのなら
これはきっと……私の罪


