(紫苑side)
俺はどちらかと言うと起きるのは早い方だと思う
だから俺が起きた時はまだ全員寝ていた
なのに……
「……片付けられてる。」
歓迎会の面影はなく、倉庫の端にはゴミ袋が積まれていた
誰が片付けたんだ、と考えた所で気がついた
あぁ、アイツがいないんだ
今は16時
「……そろそろ終わる時間……。」
他のヤツらはまだ寝てる
昨日は殆どのヤツが酒を飲んでいたから、起きたところで運転出来ないだろう
飲んでないのは確か俺だけだった気がする
「……仕方ない。」
行かないと大輝がうるさそうだし
バイクで学校まで走りながら考える
人は苦手だ
女はもっと苦手だ
人混みの中を歩くのならイヤホンを付けないと無理
人の声が否応なく耳に入ってくることが嫌い
自分の世界を作らなければ生きていけない俺
だから、
アイツにすぐ馴染んでいくヤツらに、
REDMOONに、少しばかり俺は焦っていた
初めて会った時だって近づくなと牽制した
別に……嫌いという訳じゃない
ただ、何も無い俺にとって眩しいヤツは脅威だった
あの日からずっと空っぽになってしまった俺に、輝いて見えるアイツは刺激が強すぎる
昔はそうなりたいと願っていたはずなのに、いつからかその願いは埋もれてしまった
「……俺にはないもの……。」
だから、俺は少しアイツに近づき難いのかもしれない


