ぶらほわバタフライ




目を覚ますとツンと薬の匂いがした





「クロ……っ!!」



「なんでそんな顔してるの、麓絽。」



「なんでじゃねぇんだよ……っ。」





こうして麓絽の泣き出しそうな顔を見るのは2度目だ



あの日もこんな顔をしていた



麓絽は時々子どもっぽいような表情をする



でも、唇を噛んで涙を零さないようにする



もう子供ではないと言うようで





「藍羅が連れてきたんだ。
あいつは一旦帰らせたぞ。」





そうか……



私は本当に忘れていたんだね





「麓絽、心配かけてごめんね?
もう大丈夫だから。
私は、私のやるべき事を思い出した。」



「まさか……お前、記憶……」



「思い出したよ、全部。
殺から受け取った大切な記憶……ちゃんとここにある。」





私の胸の中にちゃんとある



今までされてきたこと



今までしてきたこと



これから何をしなければならないのかも



だからこそ私は決意する





「私は、あそこに戻るよ。」





あの閉じ込められていた籠の中に



それが今の私が出来る、最大の守り方だから





「っ、ざけんじゃねぇっ!!

誰がそんなの認めるかっ!!

やっと……やっと解放されたんじゃねぇか、お前も真白も!!

お前は寄り添える仲間も出来た!!

それなのになんで!!

お前はそうやって……毎度毎度自分を犠牲にすんだよ……っ!!」



「……うん。麓絽の言う通りだよ。」





どんな思いで私たちがあそこから飛び出したのか



それも全て、外の世界にある自由が欲しかったから



その果てに私はREDMOONという居場所を見つけた



とってもあったかくてホームみたいな場所



他人なのに家族みたいに接してくれる場所



初めて来た私を笑顔で迎え入れてくれた場所



でも、今の私には……









「あそこにいることが……苦しい……っ。」








すぐ近くにある結末を知っているからこそ



私がもたらしてしまう現実を理解しているからこそ



私は自分の意思であの場所から消えなければならない



少しでもみんなの記憶に私が残らないように