ぶらほわバタフライ



「私がみんなと幸せになる道を選んでしまったら……今度こそシロ兄はひとりぼっちになっちゃう。
私が悲しかったように、シロ兄が悲しむ。
殺を忘れてしまう。
私の中でずっと苦しみと戦ってきた殺を殺すことになる。
それだけは……嫌なの。」





それはあまりにも不公平過ぎて



私と殺は、元は1人だから



今度こそ私は苦しみから逃げたくない



もう誰かに背負わせて……それを忘れて生きていくのは嫌だ



それに私は……嘘をつきすぎた



自分の目的を果たすためだけに、たくさんの大切な人を傷つけた



私は始めから、みんなの傍にいることが叶わない人間だった





「殺、本当にありがとう。
私を支えてくれて。
私の大切な人を一緒に守ってくれて。
殺がいなきゃ、私はもう1度前を向くことが出来なかった。」



『……俺は、ただの人格だ。
クロの記憶を閉じ込めておく器だ。
クロは気づかなかっただろうが、クロがずっと小さい頃から俺はもうお前の中にいたんだぜ?
だから、クロを支えるのなんか……当たり前なんだよ……っ。』





殺の言葉に私も泣きそうになる



それだけ私たちは、長い時間を共有してきた





「私の記憶が戻っても、殺は私の中にいてくれる?」



『……俺が表に出ることはもうない。』



「それでも、」



『でも……もし許されるなら。
俺は変わらず殺としてクロを支えたい。
俺にはこれしかなかった。
だから、これからもクロを通して色んなものを共有していきたい。』



「殺……。」





殺はゆっくりと手を差し出した



私は、その手をしっかり握る



もう離すことのないように





「今度は楽しいことも辛いことも全部半分こだね。」



『それでも変わることなく、俺はクロの傍にいるよ。』





1つになる感覚があった



バラバラだったピースが組み合わさっていく







"ありがとう"







そんな殺の声が聞こえた気がした