だけど、それでも私は









「私は、みんなが大好きだよ。
この思いだけは誰にも負けない。」









多くの言葉で隠すんだ



私にはもう……シロ兄もREDMOONも同じくらい大切だから



今は嘘をつくことが……こんなにも辛い





「お嬢さん。
俺の過去を話す時言ったこと覚えてる?」



「お願いを聞くってやつ?」



「うん。
もし……もしこの先お嬢さんが誰にも言えないことがあって、1人で困った時は……俺に相談してくれないかな?」



「……なんで?」



「なんていうか……色々だよ。

俺は1人で生きることの苦しさを知った。
誰にも頼れず、誰にも話すことが出来なかった。


だからね?
もしお嬢さんにそういう時が来たら、力になりたいんだ。


俺を過去から救ってくれた恩人だからね。
もしお嬢さんが頼ってくれたなら、俺は誰にも言わないから。」





きっと翔は……気づいている



でも、それでも翔は最後まで気づいていなかったふりをしてくれるだろう



それが分かっていても、私に優しさを向けてくれる





「……分かった。」





それが歯がゆくて、胸が痛くて、よく分からない気持ちになった





「うん。約束だよ。
それにしても、すっかり遅くなっちゃったね。」



「翔、ちゃんとサプライズ気づいてないフリしてね?」



「俺の演技は天才だよ?」





今は、こうやって笑いあってるだけで幸せだから



今だけは、この幸せに溺れさせて










パンッ!!パパンッ!!!









「「「お誕生日おめでとう!!!!」」」








そうやってみんなの笑顔に迎えられて、私たちはREDMOONというホームに帰るんだ