倒れている涼の目の前に立つ
涼は目を覚まさない
「……涼、ごめん。」
俺のせいで……
次目が覚めた時には、後悔してくれ
俺と出会ったことを
そして……忘れてくれ
瞼を閉じると、自然とこの1年の思い出が浮かぶ
ここに来て自己紹介をしたこと
初めて繁華街に行って悪者を倒したこと
ハイタッチをして喜びあった日のこと
今思えば、俺の頭の中は涼と昴でいっぱいだった
それだけ、俺にとって2人はかけがえのない存在で
これからは……頭の中から2人を消さなきゃいけない
なら、俺の中には何が残るのだろうか
「兄さんー!!涼ー!!
……って、なんだ……よ……これ……。」
この胸にある思い出だけは消したくない
この思い出さえあれば……
「ねぇ、どういうこと……?
何があったの……兄さんっ!!」
「ごめん。ごめんね……昴。」
俺は1人でもやっていける
さぁ、変わろう
俺はもう……Blue skyの浅葱翔じゃない
「俺が……みんなをやった。
ここにいる全員。
涼って……意外に弱かったんだね。」
昴、ごめん
「は……?
なんでだよ……どうして兄さんが……っ!!」
「なんでもだよ。
いい加減Blue skyに飽きてきたから。」
昴の心に傷をつけることが……こんなにも苦しいなんて
双子にしか分からないテレパシーみたいなのがあるって聞いたことがあるけれど、本当だね
昴の痛みが……俺にも移ってる気がする
でも俺は……神様がくれたこの関係までも壊してみせるよ
「どうしてだよ……っ、兄さんっ!!!」
耐えろ……
俺がこの2人から離れれば、2人は前みたいに戻れるんだ
だから……
「昴……ごめん。
もう俺はここにはいれない。」
昴の横を通り過ぎる
もう二度と訪れることのないこの一瞬を、俺は罰として受け入れよう
この世界は……俺が抗うには大きすぎた
「終わったかー?」
「はい。」
「じゃあ次の仕事だ。
お前にはREDMOONに入ってもらう。」
REDMOON……
Blue skyと対立しているチーム
どんな人たちかは分からないけど……ごめんなさい
俺はこの先、一生嘘をついて生きていく
「分かりました。」
自分の力で2人を守ることさえ出来ない俺は愚かだ
そしてその愚か者は、また誰かを巻き込んで不幸にし、またその誰かを踏み台にして大切なものを守ろうとする
これが、俺の本当の姿
俺は……嘘でできていた


