「そう言えば、クロちゃんは昨日何してたの〜?」
慧の話してたのに何でこっちにふるのよ
「親の用事があってついていってたの。」
「良かった。
お嬢さんに何かあったら困るしね。」
何かあったら……ねぇ
そんな探るような瞳で見ながらよく言う
それも仕方ないか……
まだ日が浅い
お互いに知らないことが多すぎる
私も全てを見せてはいない
「ちょっと下に行ってくる。」
「じゃあ僕も行く〜!!」
「はいはい、いってらっしゃい。」
凜と2人で下に降りるとそれなりに注目された
1人になりたかったんだけど……
「ねぇ、クロちゃん。
ちょっとお話しない〜?」
「……いいよ。」
私たちは近くのベンチに腰を下ろした
「どうしたの?」
いつもニコニコはしゃいでいる凜が私に話なんて
「クロちゃん。
あまり気にしないで欲しいんだ〜。」
足をブラブラさせながら言う凜が何を言おうとしているのか理解出来た
「僕らまだ出会ったばっかでしょ?
だから、まだみんなクロちゃんとの距離を探してるんだよ〜。」
凜は空を見上げながら言う
「何で凜は私にそんな事言うの?
凜もみんなと同じ気持ちを抱いてもおかしくないのに。」
「……僕は多分、他人に対しての感情があまりないんだ〜。だからかな?
正直、僕ですらみんなのことをちゃんと知らないんだ。
でも、どうにかすることも……きっと僕には出来ない。」
誰にだって人には言えないことがあるでしょ?と凜は淡く微笑んだ
凜にも
そして私にも
簡単には口に出せないことがある
「優しいんだね、凜は。」
「……何も出来ないのに?」
「フフッ、だからこそ……かな?
無闇に入り込まないようにしてるんだね、凜は。」
少し目を見開いた凜の表情はすぐにいつもの表情に戻った
「そ〜?全然優しくないよ〜。」
立ち上がり、太陽に手を伸ばす素振りを見せる凜は、今にも光に飲み込まれそうなくらい……儚く見えた
「ありがとう。」
「ううん。
ただ僕がクロちゃんに言いたかっただけだよ〜。」
ごめんね、凜
この時ちゃんとあなたの苦しみに気づいてあげていれば
また傷つくこともなかったのに……


