消極的に一直線。【完】

 ◆◇◆◇


 体育祭の盛り上がりは凄まじく、全競技が終わって順位が発表され、片付けも終わり、教室に入っても、全く冷める様子はなかった。

 結局、十二組は総合十八位、学年のなかでは総合二位という結果に終わった。
 

 一番盛り上がった男子リレーは、朝羽くんと颯見くんのレース。迫力満点で、見ていた私も、すごく興奮してしまった。


『リレー頑張るよ』


 そう言った颯見くんは見事にアンカーで朝羽くんを抜いて一位を取った。

 同じクラスの朝羽くんを応援しないといけないのに、颯見くんから目が離せなくて、ずっと鼓動が鳴っていた。


 颯見くんは意気込み通り鈴葉ちゃんにカッコいい姿を見せることができた。よかった、って思いたいのに、それを考えるとまたモヤモヤが渦巻いていく。


「打ち上げしようぜ!」


 ザワザワと興奮が冷めない教室の喧騒を打ち破る、一人の男子の声。

 その提案に、やろうやろう、と、より一層、教室が盛り上がり始めた。


「いったん家に帰って着替えて、六時に学校前集合な」
 

 うおー、とクラスの男子たちが叫んで、女子たちはパチパチと拍手をする。

 そんな様子を、窓際の一番後ろの席から、ぼんやりと眺めた。


 打ち上げ。私も行っていいんだろうか。行ってみたい。でも、私なんかが行くと、盛り上がらなくなっちゃうかなぁ。


「雫も行くよね」


 心の内を読み取ったかのように、いつの間にか隣にいた倖子ちゃんが言った。

 渦巻いていた不安がふっと消える。


 そっか。私はもう、このクラスで一人じゃなくなったんだ。

 賑やかに輝くクラスメートたちを、窓際の一番後ろの席から眺めて、その中にいる自分を妄想するのが、当たり前だった。


 今でも、クラスメートの輪の中に入って一緒に騒いだりなんかは出来ていない。けれど、それでもクラスに友達がいるというだけで、こんなにも心強い。


「打ち上げは焼肉だぜー!」


 提案した男子が叫ぶと、いえーい、と楽しそうな声が飛び交った。