消極的に一直線。【完】

 板と足をくくり付けていた紐を外していると、大西さんが「ねぇ」と少しくぐもった声を出した。


「あたしら、結構やばいよね。大縄の練習もしなきゃいけないのに。明日の昼休みはもっと真剣にやろ」


 そうだね、と笹野さんが言うと、佐藤さんが頷く。


「あたしら息合わなさすぎじゃん。マジやばいね」


 はは、と笑う寺泉さんに。


「あたしらっていうかさ、」
 

 と大西さんが視線をずらした。 

 ――なぜだか、嫌な空気がよどんだ気がした。


 その続きを何も言わないまま、先に校舎の方へ歩き出す大西さん。
 その後を追うようにして、佐藤さんと笹野さんが走っていった。

 寺泉さんは、私が紐を外すのを待っている。慌てて外すと、素早く板を持ち上げて行った。


 四人の後ろ姿を見ながら、心に何か薄暗い嫌なものが混ざってくる。


 空も、なんだかよどんでいる気がした。