第6章 新しい出会い



 年が明けてから、冬休みはあっという間に終わり、三学期が始まった。

 何かが変わったわけではなく。敢えて変わったことを挙げるなら、雪が降ったこと。見慣れた学校の景色が、真っ白で、別の場所のように見えた。


「三日連続で雪とか最悪」


 昼休み。お弁当箱をお箸で突きながら、倖子ちゃんがため息をついた。


「もう地面が白くなってるの見るだけで寒くなるわ」


 倖子ちゃんはそう言って、ウインナーをお箸でつかんだ。


「そういやさ、」


 ぱくっとそれを口に入れて、もぐもぐと口を動かし、ごくりと喉仏が動く。


「アレは持ち主に返せたの?」


 訊かれて、小さく首を横に振った。

 
 大晦日のあの日、神社裏で拾った、USBメモリーのような小さな黒い物体。

 持ち主に返そうと、何度か科学研究部の部室に行ってみたけれど、留守で誰も居なかった。このマンモス校では、廊下やどこかで見かけることもない。


 出会ったら、すぐに渡せるように、制服のポケットにはいつも入れているんだけれど。


「今日も放課後部室行くの?」


「うん、行ってみようと、思う」


 答えると、倖子ちゃんはふーんと頬杖をついて、またお弁当箱をお箸で突ついた。