「それで………松田さんは、その……キスは何回目?」
俯き加減で控えめに聞いた。
顔を見てなんて聞けなくて、きっと教えないとか、数え切れないな、とか。
想像して胸が痛くて、聞かなきゃよかったかなってちょっと後悔する。
「紗良と同じ。」
「………え?はい?何が?」
私、数えられますけど?
見上げて顔を確認しても嘘を言っているようには見えなくて。
「え?何?ダメ?
紗良が初めてで紗良とだけ。」
………えぇ??
「ダメって……ダメじゃない………けど。
だって!……だって……………。」
「だって?」
「だって、こんなにかっこいいのに……。」
「そう?ありがと。」
「こんなにイケメンで、背も高くて、仕事だって………。」
「そんなに褒められても何も出ないよ。」
「だって………本物の王子様みたいな……。」
王子様はいないよ。
それは空想の話に、懐かしい思い出の話。
現実にはいなくって…だから……。
「紗良にそう思ってもらう為だよ。
誰の為でもない。
紗良がずっと俺のお姫様だったんだ。
それなのに他の人とする必要ある?」
「それは……そうだけど…。」
本当に?
チュッと自然にキスされて、私以外にしたことないないんて嘘だ!って確信する。
こっちはこんなに恥ずかしいのに!!
「紗良?顔見せて?」
「嘘ばっかり。こんなに手慣れてるのに。」
「馬鹿だなぁ。
慣れてないから今まで……。」
「今まで誰かと練習したとか!」
顔を上げると笑った松田さんにまたキスされた。
もう!誤魔化そうなんて!!!
「慣れてたらすぐにでもキス出来たんじゃない?
まぁ理由はそれだけじゃないけど。」
えっと……………。
「俺が紗良の憧れで大切な思い出の『こうくん』でがっかりしなかった?」
「そ、それは………。」
言葉を濁すと悲しそうな顔をする松田さんが思ってもみないことを口にした。
「いいや。それより王子様は信じないって言う紗良が王子様だって言われる俺と付き合ったのがどうしてか気になってた。
だから『こうくん』が俺だって言いにくくて。」
そんな……。そんなこと言わないで。
ぎゅっと松田さんにしがみついて内緒にしていたことを口にした。
言ったら本当になっちゃうみたいで怖かった。
「松田さんは王子様みたいで、だけど王子様だと空想だから消えちゃいそうで。
だから王子様はいなくて、松田さんは現実の人だって………。
その…上手く言えないけど。」
「うん。それはいい意味なのかな。」
「えっとたぶん。
王子様って思ってたけど、拗ねるし可愛いし怒るし……。」
「ちょっと!
いい意味じゃないよね?それ。」
言ったそばから怒ったような声を出す松田さんに笑えてしまう。
笑って誤魔化して本当の本当は言わなかった。
私だけに見せてくれる王子様の王子様らしからぬ姿が大好きなんだよって。
「高校の頃の手帳。」
「え?あ、はい。」
間違えて渡した手帳の切れ端は高校の頃のものだった。
「あれを渡されたお陰で勇気をもらったのもあるかな。」
「え?何がです?こんな間抜けな子に何を言っても平気だって??」
ハハッと笑って頬を優しく撫でられた。
自然過ぎてこっちが恥ずかしい。
「手帳に書いてあった将来の夢がお姫様になることだったから。」
「うわっ。そこ松田さん側にあったんだ。」
「あの手帳ってわざわざ持ち歩いてたくらい思い入れが大きいのかなぁって。
だから本当は今でも夢を忘れられずにいるんじゃないかなって。深読みし過ぎかな。」
そこまで気づかれるなんて……。
だからわざと「たまたまですよ。たまたま」と返答をする。
「本当かなぁ」と笑う松田さんは何もかもお見通しな気がした。
隠し事なんてできないなぁ。
「今度返すね。大切にしておいてよ。
俺との思い出込みで。」
俯き加減で控えめに聞いた。
顔を見てなんて聞けなくて、きっと教えないとか、数え切れないな、とか。
想像して胸が痛くて、聞かなきゃよかったかなってちょっと後悔する。
「紗良と同じ。」
「………え?はい?何が?」
私、数えられますけど?
見上げて顔を確認しても嘘を言っているようには見えなくて。
「え?何?ダメ?
紗良が初めてで紗良とだけ。」
………えぇ??
「ダメって……ダメじゃない………けど。
だって!……だって……………。」
「だって?」
「だって、こんなにかっこいいのに……。」
「そう?ありがと。」
「こんなにイケメンで、背も高くて、仕事だって………。」
「そんなに褒められても何も出ないよ。」
「だって………本物の王子様みたいな……。」
王子様はいないよ。
それは空想の話に、懐かしい思い出の話。
現実にはいなくって…だから……。
「紗良にそう思ってもらう為だよ。
誰の為でもない。
紗良がずっと俺のお姫様だったんだ。
それなのに他の人とする必要ある?」
「それは……そうだけど…。」
本当に?
チュッと自然にキスされて、私以外にしたことないないんて嘘だ!って確信する。
こっちはこんなに恥ずかしいのに!!
「紗良?顔見せて?」
「嘘ばっかり。こんなに手慣れてるのに。」
「馬鹿だなぁ。
慣れてないから今まで……。」
「今まで誰かと練習したとか!」
顔を上げると笑った松田さんにまたキスされた。
もう!誤魔化そうなんて!!!
「慣れてたらすぐにでもキス出来たんじゃない?
まぁ理由はそれだけじゃないけど。」
えっと……………。
「俺が紗良の憧れで大切な思い出の『こうくん』でがっかりしなかった?」
「そ、それは………。」
言葉を濁すと悲しそうな顔をする松田さんが思ってもみないことを口にした。
「いいや。それより王子様は信じないって言う紗良が王子様だって言われる俺と付き合ったのがどうしてか気になってた。
だから『こうくん』が俺だって言いにくくて。」
そんな……。そんなこと言わないで。
ぎゅっと松田さんにしがみついて内緒にしていたことを口にした。
言ったら本当になっちゃうみたいで怖かった。
「松田さんは王子様みたいで、だけど王子様だと空想だから消えちゃいそうで。
だから王子様はいなくて、松田さんは現実の人だって………。
その…上手く言えないけど。」
「うん。それはいい意味なのかな。」
「えっとたぶん。
王子様って思ってたけど、拗ねるし可愛いし怒るし……。」
「ちょっと!
いい意味じゃないよね?それ。」
言ったそばから怒ったような声を出す松田さんに笑えてしまう。
笑って誤魔化して本当の本当は言わなかった。
私だけに見せてくれる王子様の王子様らしからぬ姿が大好きなんだよって。
「高校の頃の手帳。」
「え?あ、はい。」
間違えて渡した手帳の切れ端は高校の頃のものだった。
「あれを渡されたお陰で勇気をもらったのもあるかな。」
「え?何がです?こんな間抜けな子に何を言っても平気だって??」
ハハッと笑って頬を優しく撫でられた。
自然過ぎてこっちが恥ずかしい。
「手帳に書いてあった将来の夢がお姫様になることだったから。」
「うわっ。そこ松田さん側にあったんだ。」
「あの手帳ってわざわざ持ち歩いてたくらい思い入れが大きいのかなぁって。
だから本当は今でも夢を忘れられずにいるんじゃないかなって。深読みし過ぎかな。」
そこまで気づかれるなんて……。
だからわざと「たまたまですよ。たまたま」と返答をする。
「本当かなぁ」と笑う松田さんは何もかもお見通しな気がした。
隠し事なんてできないなぁ。
「今度返すね。大切にしておいてよ。
俺との思い出込みで。」