松田さんとのキスは優しくて優しくて。
優しくて甘いキスがあるなら、そんなキス。
夢みたいな甘い時間を松田さんが現実へと引き戻した。
「あの……さ。俺とのキスはどうだった?」
「ど、ど、ど、どうって!!!!!
そ、そんなにしたことないし。」
何が色っぽくないことなの!?
声が甘い甘い声色で色気漂いまくりだし、何その質問!
溺れそうでした。なんて絶対言えない!
フッと笑った松田さんが悪魔に思える。
「嘘。前の人とは?」
「前って………あの前に松田さんといる時に会っちゃった人?
だってあの人は………。」
人生の汚点。
だいたい付き合ってたわけじゃない。
騙されてたんだから。
「そういうことしたでしょ?」
何が言いたいのよ!もう!
ロマンチックなキスが台無しになっちゃうよ!
「しなかった!
というか……されそうになって…………。
その……息が臭くて………。
あの……突き飛ばしたので……。」
あぁ。そんなことで?って笑われるのが目に見えている。
体を離した松田さんは目を見開いて次に目を細めて、ハハハハハッと笑い出してお腹を抱えた。
目に涙まで浮かべて。
「そんな理由で?」
えぇすみませんね。そんな理由ですよ。
ムスッとする紗良に松田さんはまだ笑っている。
「何もなかったってこと?
それでお金渡したりする?」
「純粋だったんです!」
涙を拭いた松田さんはまだ笑い出しそうな顔をしてる。
「じゃ俺も紗良とキスする時はよく歯磨きしなきゃね。」
「緊張で、そんなの分かんないよ……。」
「あの人の口は臭くて突き飛ばしたのに?」
「それは………今思えば、たぶん好きじゃなかったんです。」
なんだか楽しそうな松田さんが憎たらしい。
「嬉しいな。俺とが初めて?」
「初めては………その……………。」
楽しそうだったのが、ちょっと怒った顔に変わった松田さんが詰め寄ってくる。
もう松田さんがなんなのか分からないよ。
「まだ誰かいるわけ?」
もしかして妬いてくれているんだったら、余計に言いづらい。
「あの………『こうくん』です。
ファーストキスはイチゴ味でした。」
しばらくの沈黙。
えぇ。そうですよ。
どうせ子どもの頃にしたキスをファーストキスって思っちゃうようなお馬鹿さんですよ。
イチゴ味なのはイチゴの飴を舐めた後だったからっていう子どもらしい可愛い理由。
笑われる覚悟だったのに笑ってはくれなかった。
「本当に?」
「こんな恥ずかしい話、嘘ついてどうするんですか。」
「恥ずかしくなんてないよ。」
そのまま、また黙ってしまった松田さんは言葉を選ぶように話し始めた。
「どこから話せばいいのかな。」
何がですか?と笑い飛ばせない真剣な声色にさっきまでのはしゃいだ雰囲気ががらりと変わった。
真剣な面持ちのまま落ち着いた低い声で続ける。
「俺にも忘れられない女の子がいるんだ。」
「そう………なんだ。」
胸が痛くなってそれから苦しくなった。
忘れられない女の子を忘れるために、誰かと付き合うためのこれも俺の練習とか言わないよね。
優しい顔になった松田さんが思いを馳せるように話す。
「小さい頃は喘息持ちで弱かったんだ。
病気がちだったせいか背も小さくてね。」
「そこからよく育ちましたね。」
「フフッ。そうだね。」
まつげを伏せた松田さんとこんなにも近くにいるのに、心は遥か彼方にある気がして胸が痛くなった。
続きを聞く勇気なんてないのに、松田さんは再び話し始めた。
優しくて甘いキスがあるなら、そんなキス。
夢みたいな甘い時間を松田さんが現実へと引き戻した。
「あの……さ。俺とのキスはどうだった?」
「ど、ど、ど、どうって!!!!!
そ、そんなにしたことないし。」
何が色っぽくないことなの!?
声が甘い甘い声色で色気漂いまくりだし、何その質問!
溺れそうでした。なんて絶対言えない!
フッと笑った松田さんが悪魔に思える。
「嘘。前の人とは?」
「前って………あの前に松田さんといる時に会っちゃった人?
だってあの人は………。」
人生の汚点。
だいたい付き合ってたわけじゃない。
騙されてたんだから。
「そういうことしたでしょ?」
何が言いたいのよ!もう!
ロマンチックなキスが台無しになっちゃうよ!
「しなかった!
というか……されそうになって…………。
その……息が臭くて………。
あの……突き飛ばしたので……。」
あぁ。そんなことで?って笑われるのが目に見えている。
体を離した松田さんは目を見開いて次に目を細めて、ハハハハハッと笑い出してお腹を抱えた。
目に涙まで浮かべて。
「そんな理由で?」
えぇすみませんね。そんな理由ですよ。
ムスッとする紗良に松田さんはまだ笑っている。
「何もなかったってこと?
それでお金渡したりする?」
「純粋だったんです!」
涙を拭いた松田さんはまだ笑い出しそうな顔をしてる。
「じゃ俺も紗良とキスする時はよく歯磨きしなきゃね。」
「緊張で、そんなの分かんないよ……。」
「あの人の口は臭くて突き飛ばしたのに?」
「それは………今思えば、たぶん好きじゃなかったんです。」
なんだか楽しそうな松田さんが憎たらしい。
「嬉しいな。俺とが初めて?」
「初めては………その……………。」
楽しそうだったのが、ちょっと怒った顔に変わった松田さんが詰め寄ってくる。
もう松田さんがなんなのか分からないよ。
「まだ誰かいるわけ?」
もしかして妬いてくれているんだったら、余計に言いづらい。
「あの………『こうくん』です。
ファーストキスはイチゴ味でした。」
しばらくの沈黙。
えぇ。そうですよ。
どうせ子どもの頃にしたキスをファーストキスって思っちゃうようなお馬鹿さんですよ。
イチゴ味なのはイチゴの飴を舐めた後だったからっていう子どもらしい可愛い理由。
笑われる覚悟だったのに笑ってはくれなかった。
「本当に?」
「こんな恥ずかしい話、嘘ついてどうするんですか。」
「恥ずかしくなんてないよ。」
そのまま、また黙ってしまった松田さんは言葉を選ぶように話し始めた。
「どこから話せばいいのかな。」
何がですか?と笑い飛ばせない真剣な声色にさっきまでのはしゃいだ雰囲気ががらりと変わった。
真剣な面持ちのまま落ち着いた低い声で続ける。
「俺にも忘れられない女の子がいるんだ。」
「そう………なんだ。」
胸が痛くなってそれから苦しくなった。
忘れられない女の子を忘れるために、誰かと付き合うためのこれも俺の練習とか言わないよね。
優しい顔になった松田さんが思いを馳せるように話す。
「小さい頃は喘息持ちで弱かったんだ。
病気がちだったせいか背も小さくてね。」
「そこからよく育ちましたね。」
「フフッ。そうだね。」
まつげを伏せた松田さんとこんなにも近くにいるのに、心は遥か彼方にある気がして胸が痛くなった。
続きを聞く勇気なんてないのに、松田さんは再び話し始めた。