夢乃くんにご注意ください



「お、驚かせないでください」

「あ、敬語使った!」

「え……放課後だし、もう終わりですよね?」

「学校を出るまで、っていう意味だったんだけど」

……そ、そんな……。


落胆している私を見て夢乃くんはなんだか嬉しそう。「罰ゲームなにがいいかな」とワクワクしている顔をしていて、手元にあるスマホでは右京さまが場違いな甘い言葉を囁いている。


「はあ……」と悲しいため息をついたあと、私はメガネを外して目頭を押さえた。


「ねえ、ちょっとこっち向いてみて」

「はい?」

夢乃くんのほうを見たけれど、眼鏡をかけてないと顔が全然わからない。


「なんか新鮮。幼く見えるね」

「そうですか?」

眼鏡なしの顔なんて自分じゃあまり見たことがないけど。


「ゲームばっかりやってるから目が悪くなったの?」

「いや、遺伝ですね。母も眼鏡ですし、乙ゲーに出逢う前から視力は悪かったです」

「コンタクトにしたらいいのに」

「コンタクトは目に合わなくてすぐ充血してしまうんです……って」


気づくと夢乃くんは私から眼鏡を取り上げていた。その手元すらよく見えないし、夢乃くんの姿がぼんやりとした塊に映るだけ。