「え?乱暴だったでしょ。なんか勢いでこう……」
「比較対象がいないので私からはなんとも……」
「もしかしてファーストキスだった?」
改めて言われると恥ずかしくなってカーッと顔が熱くなる。
「そっかあ……。そうだよね。ごめんね。俺なんかが奪っちゃって」
ここはきっと怒らなきゃいけないところなんだろうけど、夢乃くんのほうが疲れた顔をしてるからこれ以上責めることもできなかった。
夢乃くんは気疲れしたように「はあ……」と扉に寄りかかる。
「大変ですね。ファンがたくさんいると」
浮世離れしたルックスと恵まれた身長に声。こんな男の子を放っておけと言うほうがムリがある。
「んー、でも自分が適当に接してきた罰なのかも」
「罰……ですか?」
「うん。俺ニコニコしてても腹の中真っ黒だし、誰が来ても平等っていうか……そこに特別なことなんて思ったことがないから本当はすごい冷酷なのかもって」
たぶん特別じゃないから、いつも可愛い王子様でいられた。
でも私はそれが冷酷だとは思わない。だって……。
「私を助けてくれた夢乃くんはすごくカッコよかったです」
あんなことになったのは夢乃くんのせいなのに、夢乃くんが来た瞬間ホッとしたと言ったら笑われるだろうか。



