「じゃあ、俺はどうしたらいいの?」
夢乃くんがみんなに投げかける。
「仁科さんと別れてほしい」
いつの間にか下駄箱には登校してきた他の生徒たちも野次馬のようにこの光景を見ていて、当事者じゃない人たちはお祭りごとのように楽しんでるようにも見えた。
「彼女とか付き合うとか夢乃くんらしくないよ!そういうのは考えてないからって私たちとは一線を引いてたのに、なんでよりにもよって仁科さんなの?」
「………」
「私たちは全然納得できないし、仁科さんが夢乃くんの彼女なんて本当に許せない」
「………」
「そういう気持ちになったならせめて私たちの中から選んでよ!そしたらずっとファンだった子も納得できるし諦めもつく。だから……っ」
涙ながらに訴える声が響く中で、ぽつりと聞こえた夢乃くんの声。
「あー、めんどくさい」
そう言ったあと、グイッと私は腕を引っ張られて目の前には夢乃くんの顔。
そして柔らかい唇が当たっていて、夢乃くんは私の後頭部を抑えながらキスをしていた。
……え、え、ええ!?
頭が真っ白で抵抗するのも忘れていた。
一瞬の出来事が永遠のように感じて、唇を離した夢乃くんは私の手を痛いくらい強く握る。
「これで分かった?これ以上俺たちのことをごちゃごちゃ言うなら本当に許さないからね」
唖然とする女の子たちを横目に夢乃くんはそのまま私の手を引いて下駄箱を離れた。



