「夢乃くんはみんなの彼女なんだから、ひとりだけ彼女づらしないでって言ってんの。これ以上夢乃くんを困らせるようなことをしたら私たち……」
「俺、困ってるなんて言った?」
ハッと気づくと、夢乃くんが私とファンの子たちの間に立っていた。
背中越しで顔は見えないけど、今の声はいつもより低くて怒ってるようにも聞こえた。
「ゆ、夢乃くん……」
さっきの威勢は消えて女の子たちが急に弱くなる。
「こういうことされるほうが俺は困るんだけどな」
「で、でも夢乃くん。私たちの気持ちも分かってよ」
「気持ち?」
「今まで夢乃くんはみんなに優しくて話しかければ笑ってくれた。みんなが夢乃くんのことが大好きなの。だから急に彼女とか言われても私たち……」
中には泣いてる子もいて、好きなアイドルの熱愛報道が出るとなにも手につかなくなる心理と同じ。
テレビ越しでも恋愛感情に近いものが生まれるんだから、現実で話すことができる夢乃くんに対して芽生えた感情はきっと大きい。



