「ご飯は基本的にコンビニかインスタントだから今日のお弁当はちょっとマジで感動した」

夢乃くんが私をじっと見つめてきた。


そんなに感動してくれるならもう少しちゃんとしたやつを作ればよかったな。

卵焼きは甘すぎたと思うし、おかずも昨日より1品少なかったし。


「……作ってくれる彼女とかいなかったんですか?」

学校での取り巻きの人やさっき出待ちをしていたファンの人もそうだけど、夢乃くんのためならなんでもする!ってぐらいみんな夢乃くんのことが大好きなのに。


「うーん。なんかみんな俺の外見だけがタイプっていうかさ。そういう人を俺が好きになれないんだよね。だから彼女も今までひとりしかいたことない」


……彼女がひとりとか、ものすごく意外だ。

けっこう遊んでるイメージだったし、正直このマンションの階数ぐらいの彼女はいたことあるんだろうなって勝手に思ってた。


「瑠花は彼氏いたことある?」

そんなこと、わざわざ聞かなくても分かりきってるって……問題はそこじゃなくて!


「あの、瑠花って呼ぶのやめてください」