夢乃くんは私の手を本当に痛いくらい握っていて、ここで私に逃げられたら困るからだろう。

本当は女の子たちの視線が怖すぎて逃げたいくらいだけど、逃げたあとの夢乃くんのほうが私的には恐怖。


「うん。だからもう家に来たりしないでね」

優しさの中にトゲがある言い方。


「でも私たち夢乃くんのファンで……」

急に口ごもる女の子たち。

私のことをチラチラ見て、ひとりの子が「ってか全然可愛くないし、なんであの子が彼女なの?」とみぞおちにボディブローをくらった気分。


そりゃ、そうだよ。

出待ちしているこの子たちのほうが断然可愛いし美人だし、こんな嘘なんてバレるのも時間の問題じゃ……。


「でも俺が選んだ子だからきみたちには関係ない、かな」

またゾクッとする目付き。

女の子たちもビックリしていたけど、次に見せたのはやっぱり天使のような顔。


「これから俺たち部屋ですごいことする予定だから邪魔しないでね」

そう言うと夢乃くんは私を連れてマンションの中へと入った。