「きゃー!夢乃くんきたよ!」と女の子たちのテンションが上がる中、視線は夢乃くんではなくすぐに私へと変わる。

まるでこの世の終わりみたいな顔。

だって夢乃くんが私の手を固く握っているからだ。


「ゆ、夢乃くん……その人は……?」

知り合いでもないのに友達のような口調。


きっと夢乃くんの話で盛り上がってる間に、まるで自分たちが親しくなったような錯覚におちいったのだろう。

よくある、よくある。

私も秋葉原のカフェでひとりぼっちだったけど、同じゲーム仲間として店内にいたお客さんは知り合いのような感覚がしてたもん。


「俺の彼女」

「え、ええ!?」

これはデジャブというやつだろうか。

今朝の光景がそのまま頭に浮かぶ。